真空管

一部ではまたレコード盤が人気になっているとも聞くが、どんなにテクノロジーが進歩しても埋めることの出来ない溝なんだろうね。
というより、テクノロジーが進歩すればするほど、その溝は大きくなるのだろう。

つい先日、近所の若い(まだ30代)奥さん(といってもバツイチなんだけど)が世間話をしにきた。その時、部屋に置いてあるプレーヤーを見て、「あっ、レコード聴くんですね」と言った。
「ん?、そう」と応えて、レコードが分かるんだなあーと思った。
そりゃそうか、レコードなんて別に珍しいものじゃないし、彼女の親の世代なら誰でも持ってるだろうし、子供の頃に見聞きしていて当然だ。
で、こう続けた。「その下にあるのが真空管のアンプだよ」
そしたら、何それ?というような顔をして「え!真空管?」
「そう、真空管」「真空管って?」「真空管・・・知らない?」
「これだよ、これ」と言って、アンプの傍に寄ってパワーアンプから覗いている真空管を指差した。
これだけの会話なのだが、年齢差の大きさを極めて明白にした残酷な瞬間だった。
これも、何年経っても埋めることの出来ない溝だ。

まあ、現実とはそんなものだろうが、俺ももう少し若かったらと思ってしまう。
それで彼女をドライブに誘って・・・などとあらぬことを想像してしまう。
誘ってみたとて体よく断られるのが落ちだろうが、昔の俺だったら誘ってたな......。

話が逸れて失礼した。この真空管との付き合いはもう軽く半世紀を越えている。
今では真空管をいじることはなくなったが、子供の頃は3球やら5球スーパーやら、そしてアマチュア無線の受信機やら色々作っていた。
配線図を見ながら半田ごて片手に、時の経つのも忘れ夢中になっていたあの頃。
真空管が赤く灯る時、少年時代のあの空気が暖かみが甦ってくる。

写真は1970年に発売されたStaxのUA-7というモデルのアームベース部分。
機能・性能の良さに加え、フォルムの美しさには惚れ惚れするほどの一品だ。
このトーンアーム、今もボードの上で輝いている。

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